今回は、ロストサーフボードの小波用パフォーマンスボードの定番、SUB DRIVERの最新モデル、SUB DRIVER 3.0スワローのレビューを行いたいと思います。
さてSUB DRIVERはラウンドノーズフィッシュシリーズやリッパーシリーズに並ぶメイヘムさんの代表的なモデルの一つですね。ドライバーというハイパフォーマンスボードがありますがそれのステップダウンモデルでもあります。
オリジナル、2.0、そして今回3.0にアップデートされましたが果たしてどんな性能なのか実際にサーフィンをしてみてどうだったかの感想をお届けします。
LOSTサーフボードとの出会い
私が初めて自分で購入した新品のボードがLOSTのサーフボードでした。たぶん30年近く前だったと思います。まだメイヘムさんも駆け出しのシェイパーで日本にもそれほど本数入ってきてなかったんじゃないかな
当時スポーツ店でバイトしていて サーフィンやスノーボードのコーナーがあってそこの販売員をやっていました。
サーフボードはアロハサーフボードとかジョンカーパーそれとローカルモーション、初心者用にBIC、それとオリジナルのボードも販売していました。
あるときデッキに巻貝の絵が描かれたかっこいいサーフボードが1本だけ入ってきたんですね。それが、LOSTのサーフボードとの初めての出会いでした。
店員は少し割引価格で購入できるのですがすぐに取り置きして貯めていたバイト代を使って買っちゃいました。
ちなみにいわゆるその当時流行っていたパキパキのショートボードで全体的に薄くて細くて、乗りこなすのが難しかったです。でもなぜかテイクオフはしやすかったなあ。
今は友人に売ってしまって手元にはないです。持っておけばよかったと後悔しています。
SUB DRIVERという名前を聞いたのは今から10年ほど前でしょうか。近所のサーファーの方がSUB DRIVERに乗っていて小波の時でも使えてすごく乗りやすいと話していました。それでずっと興味はあったのですが、なかなか手にする機会がありませんでした。そして今回ついに3.0になって初めてSUB DRIVERに乗ることになりました。
さあ実際にサーフィンしてみてどうだったをお話しする前に軽くSUB DRIVER 3.0のデザインについてご紹介しておきます。
SUB DRIVER 3.0は結構攻めたデザインになっている
アウトラインについて

まずアウトラインはSUB DRIVER 2.0のDNAを残しつつも、全体的にコンパクトになってて、すんごく取り回しが良くなるデザインになっています。
前足あたりはふっくらしてるけどノーズはシュッとしてます。絶妙な形です。スピードは欲しい、でもクイックな動きもしたい!そんな欲張りサーファーにぴったりなアウトラインデザインになっています。
そして、注目すべきはこのスワローテール!ちょっと薄めにシェイプされてるから、リップアクションで“パキンッ!”といけて、とにかくターンのキレがよくなるようになっています。
『今日は波が小さいなあ…』って日でも、ノーズがちょい広めだから浮力もしっかり。パドルも安定してテイクオフもしやすい設計になっています。
ロッカーについて
まずSUB DRIVER 3.0のノーズロッカーは“低めでフラット気味”。 これ、前作の2.0から受け継いでる特徴ですが、なんでわざわざフラットにするのかっていうと“スピードを殺さずに、スーッと走らせるため”なんです。 例えば小波の日とか、波のパワーがないとき、ロッカーが強すぎると板が波に引っかかってスピードダウンしちゃう。 でも、このSUB DRIVER 3.0はノーズが控えめな分、スムーズに滑り出して、早めにパドルでも加速できる。 つまり、波取り合戦で有利になるわけです。
次にテールロッカー。 ここが今回めちゃくちゃ面白い。 SUB DRIVER 3.0では、テールロッカーが少し強めになってるんだけど、じゃあなぜそうなってるのか。 それは、“ターンのキレとアクションの反応を良くするため!” 板の後ろが上がってると、ターンのときにテールがグッと水から抜けやすくなる。 それによって、クイックなリップアクションやスラッシュ系の動きがやりやすくなるんです。
さらに!このテールロッカーがスワローテールと組み合わさって、 リリースするときに“ビシッ”と反応してくれる。
全体で見るとどうかっていうと… “ノーズは速くて、テールはキレる”。 これ、サーフボード設計の中でもめちゃくちゃバランス取るのが難しい部分だと思うけど、SUB DRIVER 3.0はそれが見事にまとまっています。
コンケーブについて
次にコンケーブですが結構攻めた構造になっています。 さすがメイヘムさんという感じでかなり凝っているというか職人技が光っているんですよね。「まずはボードのど真ん中、足の間あたりね。 ここに入ってるのが“深めのシングルコンケーブ”。 ボトムがグッとえぐられてて、波のフェイスをしっかり捉える作りになってます。 深いシングルはどう言ったメリットをもたらすかというと“踏み込むことでスピードとドライブを引き出す”メリットがあります! 水の流れを中央に集中させることで、水流がまっすぐ抜けていって加速力がグンッと上がるわけです。
ハイパーエクステンション〜ダブルコンケーブ(テール方向)
テールに向かっていくと…ここがこのボードの職人ワザなのですが、 “ハイパーエクステンション”っていう、シングルの中にダブルが混ざった構造になってる。 一般的にはシングルインダブルですね。だんだんテールに向かってダブルコンケーブになっています。 つまり、シングルで走らせながら、ダブルで水の流れに変化をつけて、ターンのときの反応を鋭くしてる。 この“シングル to ダブル”の切り替えが、直進性能とクイックなターン性能 をうまく両立させる構造になっているわけです。
テールVee(フィン後ろ)
そしてフィンの後ろには、SUB DRIVER 3.0のキモのひとつ、“Vee”が入ってます。 ここで板の“軸”がクイッと切り替えやすくなってて、リリースが軽くなります。 ターン後半の抜けが良くなりスラッシュ系の技もやりやすい構造になっているわけですね。
さらに、このコンケーブと組み合わせてるのが、先ほども紹介したスワローテール! テールの面積をちょっと減らしてるから、水のリリースが早くて、“ピボット(その場でクイッと回る感じ)”が効く。
要するに、 中央でドライブを生み出して テールで抜けをつけて スワローテールでギュッと回す っていう、“走って、切れて、抜ける”三拍子が揃ったボトム構造!になっているというわけです。
レール について
全体的に入ってるのが、ミディアムラウンドレール。 パキパキでもない、厚くもない、その絶妙な“中間”です。 これって何がいいのかっていうと、波のフェイスにちゃんと噛む(=グリップ感あり)、でもターンでは引っかからずスムーズに抜けていく(=流れる)。 この“食いつきと流れのバランス”、ここがSUB DRIVER 3.0のレール設計のキモとなっています。
ただテールに向かっていくと徐々にレールがシャープになっていく構造になっています。このデザインが何を生むかっていうと、“後ろ足で踏み込んだときのダイレクトなレスポンス”を生むわけですね。 スワローテールと組み合わせることで、 ターンのキレ、トップでのスナップ、鋭いピボット、このへん全部、『クイッ!』と気持ちよく決まるような構造になっています。
さらに今回、ノーズエリアに少しボリュームを持たせてるのもポイント。 SUB DRIVER 2.0よりちょい厚めって感じ。 これは、パドリング中にノーズが沈みにくくて、バランスも取りやすい構造です。 要するに、波のキャッチ力が上がるように工夫されています。 これ、初心者にも優しいですし、中上級者が攻める波でも“安心して突っ込める”設計になっています。 ノーズにちょいボリュームがあると、テイクオフの一瞬の余裕が変わるんですよね。
ノーズからテールまで見てみると、 全体的には丸みをもたせながら、途中でしっかりシャープに切り替わる流れ。 この“曲線のコントロール”がすごくて、 小波でも動くしオーバーヘッドでも踏んだら反応する つまり…コンディション選ばず使えるようなレールデザインになっています。
構造的にはめちゃくちゃ理にかなってて、“これは来たか?”ってかんじですが
実際に海に持ち出してみて乗ってみてどうなのか。正直な感想をお話ししていきます!
SUB DRIVER 3.0に実際乗ってみた感想
まず結論から言っちゃうと…
『まだ未知数だけど、伸びしろありそう!』ってのが正直なところです(笑)
というのも、乗ったのはまだ数本だし、フィンのセッティングもあまり試せていません。
なので、“化ける可能性”をかなり感じてるってのが今の感触ですね。」
サーフボードって「一発目から良い」タイプと「乗り込むと良くなる」タイプがある。
「このSUB DRIVER 3.0は、たぶん後者。
最初に乗って“うわコレめっちゃいい!”ってなるボードじゃなくて、乗り込んでくうちに良さがじわじわ出てくる系かもしれません。
DHDのEE Julietteや、ちょっと前にレビューしたフェブズフィッシュなんかは初乗りからニヤけるくらい良かったけど、逆にヘイデンのヒプトクリプトとかチャネルアイランズのDumpster Diver 2は、最初『あれ?』って感じだったけど、今じゃ手放せない一本になってる。
SUB DRIVER 3.0も、そんな感じがしてます。
フィンセッティングとディメンション
今回使ったフィンはCIフィンのLサイズ。それとH4も試してみました。どちらかというとH4フィンの方がこのボードにはあってる感じがしました。両方ともLサイズなんですけど少しテールが重く感じたので、こんどMサイズも試してみようと思います。
ディメンションは
5’10”×19.25″×2.37″ 28.50cl
(178×48.9×6.02cm)
普段小波用のパフォーマンスボードは30L前後なんですけど、ちょっと落としてます。
でも、63kgの私の体重では浮力的にはジャストサイズかやや余裕がありますね。
SUB DRIVER 3.0をポイント別に細かくレビュー!

ここからはテイクオフ性能、スピード性能、コントロール性能、アクション性能のそれぞれのポイントで乗ってみた感想をお伝えしていきたいと思います。
テイクオフの速さ
それでは、まずはテイクオフの速さについてです。
私が持ってるPU素材のパフォーマンス系ボードと比較しながらお話ししようと思います。
まず比較対象としてわかりやすいのが、DHDのEE JULIETTE(5’11″・28L)。
これはハイパフォーマンスボードなのに、不思議になるぐらいテイクオフが早いんですよね。
で、今回のSUB DRIVER 3.0(5’10″・28.5L)は、
そのEE JULIETTEと同じくらいテイクオフが早いと感じました!
あとは、5’9″のダンプスターダイバー2(30L)とも比較すると
そっちはさすがに浮力がある分、若干ダンプスターの方が早いかな?って印象。
まあ、これはリッター数が違うので当然かもしれませんけどね。
ただこのサイズ感(5’10″・28.5L)で考えるとテイクオフはしやすいと思います。
体力が落ちてきた僕みたいなおじさんサーファーでも、十分戦えるとおもいます!笑
あと、波のパワーも受けやすいので、力がないブレイクでもわりとスムーズにテイクオフできました。
ただ、ちょっと気になったのが、パドル始めの最初の“出だし”がやや重く感じることです。
なので、少し早めにパドルを始めてみたら良いタイミングでテイクオフできました。
とはいえ、一度スピードに乗ってしまえば、安定感もあってスーッと走り出してくれる。
全体的に、PU素材のハイパフォーマンス系ボードの中では、かなり優秀なテイクオフ性能じゃないかなと思います!
スピード性能
次はスピード性能についてです。
まず一言で言うと、走りは悪くない!直進スピードはかなり速いですね。
ただ、ちょっと気になったのが、ターンの“伸び”が思ったほど出ない時があるってところです。
特に、ボトムターンからトップに上がっていくときに、何回か上まで上がりきらない感覚がありました。
これは僕の脚力が落ちてきたせいもあるかも…笑。
最近はEPS素材のボードばっかり乗ってて、反発を使って一気にトップまで跳ね上がるような乗り方に慣れちゃってるってのもあると思うんですよね。
このSUB DRIVER 3.0はPUというのもあると思うのですが、しっかり踏み込んで“ため”を作ったターンができるサーファーさんであれば気にならないかもしれないですね。
この辺はもうちょっと乗り込んでみてから再評価したいなと思ってます。
それとフィンの相性もありそうです。
「次回はツインスタビとかも試してみようかな〜」なんて思ってます!
それでも、パワーのないダラついた波でもしっかり走ってくれるので、波のコンディションが微妙なときでも楽しめそうです。
コントロール性能
続いてはコントロール性能についてですが、正直すごく良かったです。
まず、グリップ感がしっかりあって安定性が高い。レールを入れたときの安心感がありました。
そのうえで、ちゃんと回転性もあって、細かい動きも素直に反応してくれる。
“めちゃくちゃクイック!”ってほどではないけど、
変なクセがなくて、自分の思った通りに動いてくれるので、めっちゃ扱いやすいです。
イメージとしては、「オーバーリアクションはしないけど、しっかり応えてくれる相棒」みたいな感じですね(笑)
かなりバランスの取れた良いボードだと思います。
本当に、“素直でいいやつ”って言葉がぴったりな感じです。
アクション性能
アクションに関しては、“パンッ!”と軽く返すスナップ系のアクションがめちゃくちゃやりやすい印象でした!
トップでしっかり抉り込むようなパワーターンも、たぶん全然イケると思うんですが、今回はそういうアクション入れやすい波でまだ乗れていないので、そのあたりのポテンシャルはもう少し乗り込んでからのお楽しみって感じです。
たぶん波のサイズやパワーに合わせて、もっと攻めたターンもできるはずです。
今後もっと深掘りしていきたいポイントですね。
どんな波質に合う?
このSUB DRIVER 3.0、モモ〜コシサイズからアタマくらいの波まで対応できる守備範囲の広い一本だと思います!
しかも、ダラっとしたパワーのない波から、速めのブレイクまでけっこう対応してくれる印象でした。
今回試した日は、正直コンディション的には微妙な日が多かったんですが、それでもしっかり遊べましたし、乗り味も悪くなかったです。
なので、「今日はちょっと波イマイチだな〜」っていう日でも、この一本があれば意外と楽しめちゃう! そんな“頼れる相棒”みたいな存在になりそうですね!
まとめ
はい!というわけで、今回はSUB DRIVER 3.0に実際に乗ってみた感想をお届けしました!
正直、初乗りで“これはヤバい!”っていう即ハマり系ボードではなかったんですが、
テイクオフ、スピード、コントロール、アクション…
どれも平均点以上で、全体的にバランスの良い性能を持ったボードという印象でした。
特に、コントロール性は光ってましたね。すごく扱いやすかったです。
まだ数本しか乗っていないので、今後もっと色々な波のサイズやフィンを変えたりすると印象が変わるかもしれません。結構出番が多くなりそうなのでこれから
このボードの本当のポテンシャルをじっくり引き出していきたいと思います!
コメント