今回はLOSTサーフボードのハイテク素材「Black Sheep Built(ブラックシープビルト)」と「Double Dart(ダブルダート)」を徹底比較したいとおもいます。
LOSTのボードでどちらの素材かで迷っているサーファーの方もいるかと思います。どちらも高価なマテリアルなので購入してから後悔したくないですよね。まあどちらもLOSTが自信を持ってリリースしてるテクノロジーなので間違いはないとは思いますが、人によっては、合う合わないがあるかもしれません。そこでどういう違いがあるのかそれぞれの「素材」や「構造」がサーフィンにどう影響するのか、私が実際に両方のボードに乗ってみて一般サーファーの視点で感じたことを、フレックス(しなり)の感触、浮力感、踏み込んだ後の反発の感覚、軽さという素材由来のフィーリングに焦点を当てて、深掘りしてお伝えしたいと思います。
両素材のテクノロジーをざっくり解説!
今回の主役である2つのテクノロジーについて、LOSTの公式サイトの説明を元に、私なりにざっくりと違いをピックアップしてみました。
ブラックシープビルトのテクノロジーについて

まずは、ブラックシープビルトから。メイヘムさんがこの素材を「活気がある(lively)」「エキサイティング(exciting)」と表現していますが、例えるなら「しなやかなトップアスリート」のような特性を持っています。
メイヘムさんがこの素材で目指したのは、ボードのフレックス(しなり)を最大限に引き出し、同時に圧倒的な軽さを実現することでした。 「軽さ」がもたらす革新 コアには超軽量の1.5ポンドEPSブランクス(サーフボードの芯になる発泡素材)が使われています。ちなみに、ダブルダートも1.5ポンドの高密度EPSブランクスを利用と書いてありますがもしかするとブランクスは共通なのかな。正確なところは分かりません。
ちなみにラミネートは4オンスのファイバーグラスを複数層巻いているようです。何層巻かまではわからないです。 いずれにせよPU(ポリウレタン)フォームのボードと比べると、体感で2割くらいは軽いと感じるかもしれません。この軽さが、パドルを劇的に楽にし、テイクオフの速さにも繋がるんです。
メイヘムは、この軽さがサーファーの疲労を軽減し、より長い時間のサーフィンを可能にすると考え軽さには結構こだわったようですね。
マット・メイヘム・バイオロスの秘策「Triaxカーボン」!
そして、この素材の真骨頂が、LOST独自の「Triax(トリアックス)カーボン」という特殊な高品質カーボンファイバーです。メイヘムは、このTriaxカーボンが「レスポンス性」を生み出すカギだと強調しています。 Triaxカーボンは、通常の織物のように繊維が絡み合うのではなく、繊維が平らに並んでいます。これにより、樹脂の保持が少なくなり、より自然でスムーズなフレックスが生まれるとのことです。
ノーズからテール方向の繊維(0°ファイバー):
この縦に伸びてるカーボン素材がストリンガーのように機能し、ボードがしなった後に「ビヨーン!」と素早く反発します。メイヘムさんは、この「バネのような反発」が、サーファーの次の動きを爆速でサポートすると説明しています。
斜め方向の繊維:
それと縦だけではなく繊維が斜め方向にクロスしていて、ボード全体の「ねじれの戻り」を効果的にコントロールします。メイヘムさんは、これによってレールtoレールの際のねじれの力をボード全体に分散させ、よりドライブ感のあるターンとコントロール性をもたらすと語っています。従来のカーボンでは90度の繊維がデッキの弱点となり得ましたが、Triaxカーボンはそうした弱点を軽減し、耐久性も向上させているというわけです。ちなみにメイヘムさんは、このブラックシープビルトが「標準的なEPSとフルカーボンEPSの間の良いバランス」を実現していると言っています。それと「ウェイブプールでのパフォーマンスにも優れている」とも強調していました。
取り扱い上の注意点
ボトム側が白なので浜辺に置く場合はボトム側を上にすると良いみたいです。フルカーボンは全て黒なので熱を持ちやすいから夏場の日差しがめっちゃ強い日はあまり使わないようにしてるけどブラックシープビルトはボトムを上に向けておくことでカーボンよりは熱を持ちにくいというのもあってダブルダートより扱いやすいかもです。
ダブルダートのテクノロジーについて

次に、ダブルダートです。 メイヘムは、この素材が「トップスピードに到達しながら、思い通りのラインを描き、波にヒットするとあなたの意志に応えるように簡単に跳ね返る」と、そのパフォーマンスを絶賛しています。
グリフィン・コラピントやカリッサ・ムーアといったトッププロが実戦で投入し、結果を出していることからも、その性能の高さがうかがえます。
全身を包み込む「BlackDart」!
ダブルダートは、「BlackDart(ブラックダート)」という独自のカーボンとSグラスのハイブリッド生地を贅沢に使っていて、1.5オンスの高密度EPSコア全体を、上下からサンドするように包み込んでいます。ちなみにレールの部分で重なりができますがなるべく薄くするようにしているのもこだわりだとのことです。これによって固くなりすぎるのを抑えているようです。 ラミネートは4オンス1層巻のようです。ブラックシープビルトは複数層巻いているからそこは違う部分ですね。
「BlackDart」生地の秘密!
このBlackDartカーボンファイバーについてですが、ノーズからテールに縦方向にカーボン繊維がはしっています。これがボードを踏み込んだ際のシャープで素早い反発を生み出し、ボードが波にヒットすると簡単に跳ね返ってくれるということです。 そして横方向のSグラスファイバーが組み合わさっていますが、このSグラスが、硬くなりすぎないように「しなやかさ」を補完してくれています。ちなみにブラックシープは横90度ではなく斜め45度でクロスしています。ここは大きな違いですね。 ダブルダートは、高密度EPSと独自ハイブリッドカーボンで、「ボード全体が強靭な鎧に覆われていて、圧倒的な剛性とスピード、そしてシャープな反発で、描きたいラインを正確にトレースし、波へのヒットで力強く、そして素早く跳ね返してくれる素材」と言えます。メイヘムさんは競技用ボードにもすごくマッチする素材だともいっていました。
実際に乗ってみた感想!
さて、ここからが本番! 私が実際に両方のボードを乗り比べてみて感じたことを、フレックス(しなり)の感触、浮力感、踏み込んだ後の反発の感覚、軽さなどそれぞれの素材・テクノロジー由来のフィーリングに絞って、包み隠さずお話ししていきますね。
ブラックシープのボードは先日もレビュー動画を公開したBIG RIG DRIVERです。そしてダブルダートはこちらのカリフォルニアツインですね。全く同じボードではないため、ボードの乗り味の違いが出てしまうとは思いますが、なるべく素材の違いにフォーカスして話をしたいと思います。
ということで3つのポイント、 「軽さ」「浮力感」「硬さ・フレックス(しなり)」「踏み込んだ後の反発の感覚」これら3つのポイントに焦点を絞ってお伝えしたいと思います。
軽さと浮力感:
軽さについてですが、結論から言うと、両方ともめちゃくちゃ軽いです! 持った瞬間に「お、軽い!」と感じる共通の印象がありますね。個人的な感覚としては、ほんのわずかですがダブルダートの方が軽いような気もしますが、正直なところ、そこまで大きな違いは感じませんでした。
浮力感についても、同じように大きな差はありません。どちらもEPSフォームをコアに使っているので、EPS特有のあのフワッとした高い浮力感があります。この浮力のおかげで、パドルも楽で、波をキャッチしやすいのは共通のメリットですね。 わずかな違いを言うと、ダブルダートの方がドルフィンスルーの時に、ほんの少しだけ沈めにくいかなと感じました。
硬さ・フレックス(しなり):
ここが一番のポイント! ボードの硬さやフレックス(しなり)についてですが、これに関しては違いがあります。
ブラックシープビルト:バランスの取れた「しなやかで粘り強いバネ」

ブラックシープビルトは、ダブルダートと比べてボードがしなります。一般的なPU(ポリウレタン)ボードよりはEPSなので硬さを感じますが、それでも思ったよりも「しなるな!」というのが正直な感想です。 アップス(波の斜面を上下に動く動作)の時なんかにボードを踏み込むと、ボードがしなっている感覚があります。例えるなら、まるで「質の良いバネ」がボードの中に仕込まれているようです。 このボードは割と軽い力でしなってくれるので、パワーのない小波でもボードをコントロールしやすく、ターンの取り回しがしやすいんです。 ですが不思議なことに、ただ柔らかいだけでなく、しっかりとした剛性感も持ち合わせていて、直進安定性も素晴らしい。これはLOST独自の「Triax(トリアックス)カーボン」が、斜め方向と縦方向の3方向でクロスされた特殊な繊維構造をしているおかげかもしれません。メイヘムさんがこのTriaxカーボンに込めた「活気と応答性」という言葉が、まさにこのバランスの取れたフレックス感に現れていると感じました。
とにかくブラックシープビルトは、「フレックス(しなり)と剛性感のバランス」が非常に優れていて、どんなレベルのサーファーでも扱いやすい、懐の深いボードだと感じましたね。
ダブルダート:パワフルな「強靭な鋼」

一方、ダブルダートは、ブラックシープビルトと比べると、全体的に硬いです。ボード全体がメイヘム独自の「BlackDart」素材でカプセルのように包まれているからか、非常にしっかりとした強靭な剛性感がありますね。 でも、ただ「カチカチ」に硬いわけではないんです。スピードに乗ってターンに入る時にはしなってるかんじがします。普段は硬いけれど、適切な力が加わるとパワフルにしなってくれる。ただ、波が弱い時は少し取り回しがしにくい感覚もあります。 なのでどちらかというとこの素材はスピードにのったサーフィンをするのに向いてるかもしれないです。 パワーのある掘れた波でスピードが出ている時、この剛性感は安心感につながります。ボードが遠心力に力負けしないので、ターン中のホールド感やグリップ感がグッと増す感じがしますね。
メイヘムさんがダブルダートを「競技用ボードで証明されたテクノロジー」と語るのも納得です。この剛性の高さは、プロサーファーや上級者が使うと、さらにその威力を発揮するでしょう。ものすごいトップスピードからボトムターンでしっかりタメて、一気にトップでボードを返すようなライディングで、このボードは真価を発揮するイメージです。
私は上級者でもプロでもないので、そこまでものすごいスピードでターンを切り替えるような乗り方はできませんが、それでも掘れた波の時など、ボードに身を預けられるような安心感があるのがとても重宝していますね。これは、メイヘムさんが追求した「トップスピードに到達しながら、思い通りのラインを描ける」という思想が、この素材にしっかり落とし込まれているからだと感じます。
両素材のフレックス、硬さについてまとめるとBlack Sheep Builのはフレックスと剛性感のバランスがとても良く、double dartは全体的に硬めで剛性が強くスピードにのったサーフィンで力を発揮する感じです。
EPS特有の浮力から生まれる、共通の「浮き上がり」
まず、ブラックシープビルトもダブルダートも、どちらもEPSフォームをコアに使っているので、共通して高い浮力があります。波の上でボードを踏み込むと、その浮力のおかげでボードが一度沈み込み、そこから素早くフワッと浮き上がってくる感覚があります。これはEPSボードに乗ったことのある方ならお馴染みの、気持ちいいレスポンスですよね。 両方ともこの「沈んでから浮かび上がるスピード」は速く、似たような感覚です。
ただもう一つの反発要素でであるしなりからの戻り方が違います。 ボードが「沈んで、そしてしなって、元に戻る」という一連の動作の中で、その「しなって戻る」感覚が大きく異なるというわけです。
ブラックシープビルト:粘り強く伸びる「ぎゅいん!」という反発
ブラックシープビルトは、ボードを踏み込んだ時に、先ほどのEPS特有の浮き上がりに加えて、ボード全体が「ぎゅいん」としなって、そのしなりが戻ってくる感覚が加わります。 このしなりの戻りに関してはダブルダートより若干ゆるやかです。 この「ぎゅいん」という粘り強い反発のおかげで、ボトムターンやアップスの際にボードが効率よく加速し、ターンがグーッと伸びていく感覚があります。波の力をボード全体で受け止めて、それを推進力に変えてくれるので、流れるようなターンが気持ちよく決まります。 とにかく制御しやすい反発感なのでコントロールを失うということが少ないと思います。
ダブルダート:爆発的に瞬発する「ばぃん!」という反発
ダブルダートは、ボードを踏み込んだ後の反応が、ブラックシープビルトとは少し違います。しなってから戻るまでの反応が非常に速く、「ばぃん!」という瞬発的な反発を感じます。 こちらはまるで硬質なバネというか板のよう。しなりが瞬時に元の位置に戻ろうとする、そんなパワフルな反発力があります。 ただし、このダブルダートの強い剛性としなりを最大限に活かすには、ある程度の波のパワーがあってスピードが出せる波が必要です。正直なところ、パワーのない小さい波だと、この強い反発の恩恵を得にくいかなと感じました。 しかし、スピードに乗った時、このボードは「爆発的なパワフルなターン」を可能にします。 メイヘムさんが「競技用ボードで証明されたテクノロジー」と語るように、上級者やプロサーファーであれば、この瞬発的な反発を活かして、エアリアルなどのダイナミックなアクションもやりやすいのではないでしょうか。
脚力が弱っている私の場合、ボトムで貯めきれずにすぐに「ばぃん!」と跳ね返されてしまう感覚があります。
しかし、カリフォルニアツインに乗った感じにはなりますが、その反発が独特の浮遊感につながって、また違った楽しさがあります。それとダブルダートはめちゃくちゃクイックに反応するので、ゆったりクルーズだけではなく時には攻めたアクションができます。ダブルダートはこうした特性があるためハイブリッド系やフィッシュ系と組み合わせるのもおすすめだと思います。
はい、というわけで今回はLOSTサーフボードの「ブラックシープビルト」と「ダブルダート」の素材・テクノロジーがもたらすフィーリングの違いを比較してみました!
最後にそれぞれの素材はどのような方に向いているかですが、
【ブラックシープビルト】はこんな「素材のフィーリング」が好きな人におすすめ!
- 軽くて扱いやすい素材で、ボードの取り回しを楽にしたい人。
- しなやかな素材感で、足への負担を減らし、長くサーフィンを楽しみたい人。
- 踏み込んだ時に粘り強く反発する素材で、ドライブ感と加速を両立したい人。
- 私のような脚力が弱ってきたオジサーファーにはブラックシープビルトがおすすめかもしれません。
【ダブルダート】はこんな「素材のフィーリング」が好きな人におすすめ!
- 圧倒的な剛性感と安定性を求める人。
- ダイレクトな反応と強烈な反発が得られる素材を求める人。
- 踏み込んだ時に「バチン!」と弾かれるような、シャープな加速力を体感したい人。 普段からバリバリ波を攻めてて、もう少しスピードが欲しい!とか、もっと鋭いターンがしたい!っていうサーファーには、ダブルダートは最高の相棒になると思います。
- ただボードとの組み合わせ次第では楽して鋭いアクションをしたい方にもお勧めできるかなと思います。
まとめ
今回はLOSTサーフボードの「ブラックシープビルト」と「ダブルダート」の素材の違いがサーフィンにもたらす影響に焦点を当てて比較してみました! どちらのテクノロジーもLOSTのこだわりが詰まってて、本当に素晴らしい素材です。自分のサーフィンスタイルや、普段の波のコンディションに合わせて、どんな素材のフィーリングが自分に合っているかを考えて選ぶのが一番ですね。 個人の感想も含んでいるため全ての人に当てはまるとは限らないですがちょっとでも参考にしてもらえたらとおもいます。


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